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全国大学院生協議会

全国大学院生協議会(全院協)のHPです。全院協は、各大学の院生協議会個別の取り組みでは解決できないような問題を解決するために、全国の院生協議会・院生自治会と多くの大学院生の皆さんと情報交換・経験交流したり、実際に運動していく組織です。

2015/06/15

2014年度アンケート結果の概要

2015年度の「大学院生の研究・生活実態に関するアンケート調査」開始にあたりまして、2014年度の「大学院生の経済実態に関するアンケート調査」の結果を、html版で公開します。
詳細はこちらを参照してください。




Ⅰ「大学院生の経済実態に関するアンケート調査」について (1)調査の目的・経過
本調査は、大学院生の経済実態を客観的に把握し、もって大学院生の研究及び生活諸条件の向上に資することを目的としている。全院協は、「大学院生がよりよい研究成果を出すためには安心して研究できる経済条件が何よりも必要である」との考えにたち、2004年度から経済実態に関するアンケート調査を行ない、それを報告書としてまとめてきた。今回の調査で11回目となる。

(2)今回の調査の実施状況
・2014年6月中旬から8月15日にかけて実施した。(WEB版は、7月10日から8月31日まで)
・調査票は、「2014年度大学院生の経済実態に関するアンケート調査」を使用し、前回を少し上回る1000枚を回収した(2013年度は798枚)。
・今年度も、同様の調査票を用い、ウェブからの回答も受け付けた。回収枚数1000枚のうち、ウェブからの回答は昨年(311枚)より大幅に増加し511枚であった。

Ⅱ 収入不足とアルバイトの中で研究・生活上の大きな不安を抱く現代の大学院生

(1)過半数が生活費・学費のためにアルバイト
大学院生の経済的実態を端的に物語るのが、アルバイトの状況である。後に指摘するような高学費と乏しい経済的支援の中で、アルバイトに従事せざるを得ない大学院生は多く存在する。
本調査では、52.6%がアルバイトに従事しており、その目的として91.0%が「生活費あるいは学費(研究費)を賄うため」と答えている(図表2-1)。


(2)就職や生活費・研究費、人生設計に不安を抱いている者が過半数、博士課程進学にも不安
博士課程への進学を希望する者のうち、7割近くが経済上・就職上の不安を訴えている。特に大学院での研究・生活上の懸念(不安)については、「研究の見通し」・「生活費・研究費の工面」・「就職状況」に関して、全体の6割近くが不安を持っており、ほぼ同率となっている。
また、経済状況については、33.0%が「授業料の工面」に、30.0%が「奨学金の返済」に、それぞれ懸念・不安を感じている。さらに、全体の4割以上が、人生設計(結婚・出産・育児)への不安を持っている。(図表2-2)。

 

(3)「収入不足が研究に影響」が6割
こうした経済不安は、大学院生の研究実態を蝕んでいる。実に59.8%が、収入の不足によって研究に何らかの影響を受けていると答えている。具体的には、「研究の資料・書籍を購入できない」が42.6%、また「調査にいけない」「学会・研究会にいけない」も高い値となっている。

(4)57.4%が「研究時間が十分に確保できず」、原因はアルバイト・雑務・心身の不調
さらに、研究時間について見ると、「研究時間は確保できている」と答えたのは42.6%で、残りの57.4%が研究時間を十分に確保できていないと答えている。その理由として、25.5%がアルバイトを挙げており、雑務は24.1%に上った。また、心身の不調を理由に挙げるものは13.6%であり、10人に1人以上が心身の不調を理由に研究時間を十分に確保できていないことがわかる(図表2-4)。


Ⅲ 研究と進学を阻害するいびつな高学費と返済の不安と応募をためらう名ばかりの「経済的支援」

(1)世界一高い学費と国公私立の深刻な格差
大学院の初年度納付金の平均は、現在、国立81.8万円、公立91.1万円、私立修士104万円・博士89.3万円(全院協第66回全国代表者会議決議)であり、世界一の高学費とも言われている。アンケートでは減免後の授業料を聞いたが、結果は概ね上の傾向を示している。所属大学・機関別に見ると、国公立と私立大学の間の格差が顕著である。国公立大学では9割近くの回答者が60万円未満と回答しているのに対し、私立大学では60万円未満は39.3%であり、100万円以上が20.5%存在する。上記のように、大学院生の約3割は授業料の工面に不安を感じ、博士課程進学希望の修士課程生は、3人に2人(66.6%)が懸念材料として経済上の不安を挙げている(図表2-5)。

 

(2)巨大な奨学金負担、総額700万円以上が1割以上
 高学費の状況下で大学院生の命綱となる経済的支援はどうか。まず、奨学金を55.9%の大学院生が現在受けている、ないし過去受けていた。貸与制奨学金の借入総額からは、負担の大きさが確認できる。利用者の中には、700万円以上の奨学金を借りている者が12.3%も存在する(図表2-6)。

 
(3)博士課程以上の学年では8割以上が奨学金の返済に不安
日本には、公的な給付制奨学金が存在しない。返還免除制度も極めて限られており、利子を加えて返還しなければならないものが4分の3を占めていて、返還には大きな困難が伴う。さらに、返還猶予期間は10年までとされ、返済が一定期間滞った者を個人信用情報機関に登録する、いわゆる「ブラックリスト化」も2010年に導入されている。返還に対する不安について聞いたところ、43.0%が「かなりある」、31.7%が「多少ある」と答え、74.7%が奨学金の返還に不安を抱えている(図表2-7)。


(4)若手研究者支援制度は本当に機能しているのか
優秀な若手研究者を支援する制度として日本学術振興会特別研究員(学振)があるが、その採用は博士課程在籍者の約6%に過ぎない。本調査では20.3%が「採用されないと思ったため応募しなかった」と回答し、実際に応募した者は20.0%にとどまっている(図表2-8)。



(5)留学生の6割が、奨学金を申請したが採用されず
留学生への経済的支援に関しては、奨学金を受給しない理由としては「申請したが採用されなかった」が59.7%に上った(図表2-9)。上述のように、大学院生全体のみならず留学生の多くも収入の不足が研究に支障をきたしていると感じているにも関わらず、その多くは、奨学金を利用できていない。
 
 

Ⅳ 就職不安と不十分な支援・研究環境と成果主義・業績主義の与える負担感

(1)深刻な就職状況に対し、就職支援は「不十分」24.2%、「わからない」過半数
 就職問題は大学院生の重大な関心事であることは疑いない。既に見た研究・生活上および将来の懸念(不安)では、55.2%が就職状況に不安を抱いていることが分かる。卒業後の進路希望で最も多いのが「博士卒で研究職」の44.5%、次に多いのが「修士卒で就職」の28.9%という状況であり、就職状況および就職支援の改善が望まれる(図表2-10)。
すなわち、博士課程に進学する上での懸念材料として66.6%が就職状況を上げているが、これには研究職とりわけ若手教員のポスト数の少なさや、雇い止め問題が、この不安に大きな影響を与えていることが予想できる。それにも関わらず、24.2%が「就職支援が十分に行われていない」と回答し、「わからない」も過半数に及ぶ。
(2) 高い研究環境への不満、6割近く
 大学院生の研究環境はどうなっているだろうか。56.0%が研究環境に不満があると回答し、具体的には、学内の研究スペース、必要な資料・書籍、PC・ネット環境などハード面での不満が目立つ。学内の研究スペースへの不満については、国立より私立が高くなっている。
(3)成果主義・業績主義的な風潮による不安、博士課程では73.7%
 院生全体の73.7%(強く感じている30.9%、多少感じている42.8%)が、成果主義・業績主義的な風潮による負担感を覚えており、学年が上がるごとに高くなる傾向がある(図表2-11)。
 

Ⅴ 留学生・社会人・女性・専門職大学院生の諸問題

 本報告書では、数の上から十分に触れることの出来ていない留学生・社会人・女性・専門職大学院の大学院生であるが、これらについても多くの問題がある。不十分ながら、大学院生の声を紹介したい。
(1)経済問題を抱える留学生
  • 博士課程に進学したいですが、奨学金がもらえるかどうかもわからず、将来の不安が感じます。もし生活費が保障できたら、博士に進学したいです。また、博士を取得した後の職業についても迷っています。(自由記述:15)
  • 奨学金や研究助成金を申請してみましたが、非常に狭門なので、いずれも採用されなかったです。留学生向けの奨学金を拡充してほしいです。書籍代や学会・研究会に参加するための費用を配慮することで、思う存分に研究を楽しめることはなかなかできません。(自由記述:57)
  • 今年の大学の奨学金を申請しましたが、不採用の結果となりました。その不採用の理由を知りたかったです。今のところ、生活費と研究との両立がうまくできず、これからどうすれば良いのかとても不安です。奨学金の種類を増やして欲しいです。また、学校には寮がありますが、家賃が民間のアパートよりも高くて、場所もキャンパスに結構離れていますし、学生にとってはとても住みにくいです。それに、二つのキャンパスに両方授業があるので、住む場所を決めづらくて、毎月の交通費も結構かかります。通学時間もかかりますし、キャンパスの間に通学バスもないですし、とても大変です。これも改善してほしいです。(自由記述:98)
  • 留学生です。アルバイトをしないと、生活ができない状態です。留学生向けの奨学金は名額〔※中国語で「定数」のこと〕が少ないので、申請することがなかなか困難です。アルバイトすると、研究時間が少なくなります。ほんとに体も心も疲れています。(自由記述:297)

(2)社会人大学院生への不十分な経済・就職支援
  • 社会人学生なので、仕事との兼ね合いが難しい。特に感じるのは、金銭的な面。私の場合は、職場からの配慮で相当恵まれている方だとは思う。しかし、大学院生活がメインで、フルタイムではない形での雇用形態に変更してもらっているので、金銭的にはその分減額される。日本学生支援機構の奨学金もあるので、日常生活を送る上では特段不便は感じないが、学費分を工面するのが正直苦しい。今回学費免除申請を出したが、却下された。今後も出そうと思っている。正直、金銭的な面で研究への姿勢が圧迫されることへの懸念が今相当にあるので、気持ち的にもゆとりを持った研究生活を送れたらと思うと、金銭的なフォローの検討は今後も全院協としてもして頂けるとありがたい(周りの学生と話していても、金銭的な面から、心身への何かしらの異常を来しはじめている、ということも聞かれているので)。(自由記述:79)
  • 学費が比較的安価な国公立の大学の人文・社会科学系の研究科で夜間および休日に授業をおこなう社会人コースはほとんどない状況です。退職して(退職までも零細NGOに勤務していたので貯金はわずかでしたし)、進学することで、大きな経済的な負担と不安を抱えることになります。私立の場合、社会人コースを用意している大学院もありますが、学費は割高です。入学後は、フルタイムでは仕事ができないので、アルバイトなどで生活のために仕事をすることになり、生活も困窮し、精神的な不安も大きくなります。このあたりの現実を知ることもなく、見切り発車で受験し、入学したので、とても大変です。国公立の大学院で社会人が働きながら、夜間コースを作れば入りたいと思う人はもっと多くなると思います(MBAやロースクールではない、人文、社会学系で)。(自由記述:146)

(3)女性の大学院生にとっての出産・育児の問題と人生設計
  • 基本的に支援がない。調査もない。育児室、学内保育が必要。全学的な要望調査。(育児支援:27)
  • 授業料がこれほど高く、また調査研究にかかる費用も自分で負担しなければならないので奨学金を借りるしか方法がなく、多額の借金をかかえることになるので結婚も出産も望めない。子どもがいる大学院生を見ていると、子どもや家族のことなどで研究時間を充分に確保できないことが多々あり、その場合論文を完成させるまで在学期間を延長せざるを得ず、そうすると授業料がかさんでしまう。あるいは休学をするしかない。こういったケースへの柔軟な支援があればと思う。(育児支援:61)
  • 学費が高い(国立ですが・・・それでも高い・・・)。今学期は授業料免除が通らなかったのでどうやって工面するか悩みます。パートナーがいるからって金がとれると思う大学に腹が立つ。給付制奨学金制度の実現!!そして現在の学生ローンの実態はひどいと思うそれが普通ではないということがもっと世間一般に認知共有されたらいいなぁ・・・と思います。院生だと博論が終わるまで子どもを作っちゃいけないんでしょうか?どちらか一つだけを追いかけることしかできないのでしょうか。今の大学は子どもを持ちたい/もつ大学院生に対してあまりにも冷たい、指導教員からも博論書き終るまではプライベートは・・・と暗に子作りしないほうがいいと言われました。それって君のためを装ったセクハラだよと心の中で思いながら何も言えません。院生でありながら子どもを産んで育てたい。それが普通になったらいいのに・・・。(自由記述:246)

(4)専門職大学院生の抱える就職問題
  • 法科大学院であるから、司法試験に合格するためにプラスになることが最大の支援であると考えるが、それ以外(一般企業等への就職)の支援については、全学的に実施されているものの、1年生の秋~2年生の春に案内があっても、まったく役に立たない(一般にはM1秋~M2春に案内を送るのは妥当と思われるが、法科大学院(未修)の場合は、3年制のため、2年生秋~3年生春に案内してもらわないと、意味がない)。(就職支援:109)
  • 法科大学院制度が今後、廃止にならないか心配。自分が卒業するまではないとしても、その後、制度が変わるとしたら就職等に影響はないのか気になるところです。(自由記述:180)
  • 司法試験に合格しても司法修習では無給副業不可でそれを考えると将来が不安で勉強しているときも悩んでしまいます。安心して勉強したいです。(自由記述:219)
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